証券会社・IFA・FPが Claude Code を使ったら、顧客提案書の作成が激変した
「明日の面談、資料がまだできていない」
IFAとして独立して3年目のアドバイザーは、夜11時のデスクで顧客情報を眺めていた。明日の面談の顧客は、定年退職後の資産をどう運用するか悩んでいる60代の元会社員。ヒアリングで把握したリスク許容度・生活費の必要額・相続への意識——これらをまとめた提案書を作る必要がある。一人ひとりに合わせた個別提案書が自分のウリなのに、作る時間がない。
証券会社の営業担当も似た状況にある。担当する顧客が多く、定期的なポートフォリオレポート・相場環境のアップデート・新商品の案内文——一人ひとりの顧客に合わせた資料を作っていれば時間がいくらあっても足りない。
資産運用アドバイスの価値は「顧客の状況を正確に把握し、最適な提案をすること」にある。その本質に使いたい時間が、文書作成に消えていく。
Claude Code を使うと、「顧客情報がある状態」から「提案書が完成した状態」までの速度が大きく変わる。
1. 証券・FP業界の文書業務の特徴
証券会社・IFA・FPが扱う文書には、いくつかの特徴がある。
顧客ごとのカスタマイズが必要。資産運用の提案は、顧客の年齢・保有資産・リスク許容度・ライフプランによって変わる。テンプレートをそのまま使うことはできず、毎回「この顧客に合わせた提案書」を作る必要がある。
専門用語と平易な言葉の使い分けが必要。投資経験が豊富な顧客には専門用語を使った詳細な説明が刺さる。投資経験がない顧客には、専門用語を排除してわかりやすく説明する必要がある。この切り替えが、文書作成の手間を増やす。
市場環境の変化に合わせて更新が必要。月次・四半期ごとのポートフォリオレポートや、相場環境のアップデートは定期的に作る必要がある。毎回ゼロから書くのは非効率だが、前回の使い回しでは顧客の状況の変化に対応できない。
コンプライアンスに配慮した表現が必要。「必ず儲かります」のような断定的な表現はできない。「〜の可能性があります」「〜というリスクもあります」というバランスの取れた表現が必要で、このニュアンスが文書を書くときの負荷になる。
2. 顧客向け資産運用提案書の作成
ライフプランを踏まえた提案書
顧客のライフプランと資産状況を整理して、具体的な資産配分の提案書を作る。
Claude Code への入力例:
以下の顧客情報をもとに、資産運用提案書のたたき台を作成してください。
【顧客プロフィール】
- 年齢: 62歳(夫婦ともに)
- 職業: 今年3月に定年退職
- 保有資産: 退職金含む金融資産 約3,500万円
- 年間の生活費: 約320万円(年金収入 180万円・差額 140万円を資産から補填)
- 住宅: 持家(ローン完済)
【投資の意向・リスク許容度】
- 大きな損失は避けたい。元本が大きく割れるのは不安
- 銀行預金だけでは将来が不安でインフレが怖い
- 株式投資は経験なし。投資信託を少し保有したことがある程度
- 相続についての対策も考えたい
【現在の資産配分】
- 普通預金・定期預金: 3,200万円
- 投資信託: 300万円(バランス型)
【提案の方向性(アドバイザー判断)】
- リスク許容度が低いため、守りながら増やすポートフォリオ
- 「生活費の補填分」と「将来のための運用分」を分けて考える
- インフレ対策として、国内外の分散投資を提案したい
【提案書に含めてほしい要素】
1. 現在の状況の整理
2. 課題・リスクの明示(インフレリスク・長寿リスク)
3. 提案するポートフォリオの考え方(資産配分の方向性)
4. 具体的な運用イメージ(バランスよく)
5. 今後のサポート体制
コンプライアンスに配慮した表現(断定的な予測を避ける)で作成してください。
このような入力から、顧客の状況に合わせた提案書のたたき台が出てくる。アドバイザーはそこに具体的な商品・数値・自分のコメントを加えて仕上げる。
資産承継・相続を意識した提案書
相続・資産承継を意識した顧客への提案書は、「資産を守ること」と「次世代への円滑な移転」を両立させる提案が必要になる。
Claude Code への入力例:
以下の顧客情報をもとに、相続・資産承継を意識した提案書のたたき台を作成してください。
【顧客プロフィール】
- 年齢: 72歳(男性)
- 資産状況: 金融資産 約8,000万円・不動産(自宅のみ)
- 家族構成: 配偶者(68歳)・子2人(40代)
- 健康状態: 今のところ問題なし
【顧客の意向・課題】
- 自分が亡くなった後、家族がスムーズに資産を受け取れるようにしたい
- 相続税がどの程度かかるかが気になっている
- 子供たちへの生前贈与も検討したい
- 自分と配偶者の生活資金は確保しておきたい
【提案の方向性】
- 相続税の概算試算(大まかなシミュレーション)
- 生前贈与の活用方法(暦年贈与・教育資金贈与等)
- 生命保険の活用(非課税枠の活用)
- 運用資産の名義・受取人の整理
コンプライアンスに配慮しつつ、専門家(税理士・弁護士)への相談を促す表現も含めてください。
3. ポートフォリオレポートの作成
月次・四半期ポートフォリオレポート
保有ポートフォリオの定期レポートは、「市場環境の説明」「ポートフォリオのパフォーマンス」「今後の見通し」を含む文書だ。Claude Code に「市場の状況メモ」と「ポートフォリオの概況」を渡すと、レポートの下書きが出てくる。
Claude Code への入力例:
以下の情報をもとに、顧客向けの四半期ポートフォリオレポートを作成してください。
【対象期間】今年1〜3月
【市場環境(アドバイザーのメモ)】
- 国内株式: 日経平均は1月に高値を付けた後、2月以降は調整局面。結果的には四半期で+3%程度
- 外国株式: 米国株は金利動向に敏感な展開。ドル高・円安が続き、円建てでは+8%
- 債券: 国内金利上昇で国内債券は小幅マイナス。外国債券は為替の影響でプラス
- 為替: 円安が続いており、1ドル=150円台で推移
【顧客のポートフォリオ概況(例)】
- 国内株式 30%: 期間リターン+3%
- 外国株式 25%: 期間リターン+8%(円建て)
- 国内債券 15%: 期間リターン-0.5%
- 外国債券 15%: 期間リターン+5%(円建て)
- 現金・短期資産 15%: 変化なし
- ポートフォリオ全体: +4.5%程度
【今後の見通し(アドバイザー見解)】
- 米国金利の動向が引き続き重要
- 国内は金利正常化の方向性が続く見込み
- 分散投資の維持が重要
【顧客への言葉のトーン】
- 良い結果でも過度な期待を持たせない
- 悪い結果でも不安を煽らない
- 長期的な視点を持ち続けることの重要性を伝える
投資未経験の顧客でも理解できる言葉で作成してください。
4. マーケットレポート・相場解説の作成
顧客向け月次マーケットレポート
金融市場の動向を顧客に伝える月次レポートも、Claude Code で効率化できる。
Claude Code への入力例:
以下の情報をもとに、一般の個人投資家向けの月次マーケットレポートを作成してください。
【今月(4月)の市場概況メモ】
- 国内株式: 月初の上昇後、中旬から調整。米国の経済指標に左右される展開
- 米国株式: 雇用統計が強く、利下げ期待が後退。金利上昇で株価は軟調
- 為替: 日米金利差拡大懸念で円安進行。介入警戒感も高まっている
- 国際情勢: 中東情勢・地政学リスクが原油価格に影響
- 注目ポイント: 日銀の政策決定会合の結果が市場の焦点になった
【レポートの方針】
- 専門用語は使わず、わかりやすく
- 「何が起きたか」より「なぜ起きたか」を重視
- 過度な予測はせず、複数のシナリオを示す
- 最後に「長期投資家としての考え方」を添える
A4 1枚以内に収まる分量でお願いします。
新商品・テーマ型ファンドの解説書
新しい投資信託・テーマ型ETFが登場したときの顧客向け解説書も、Claude Code で作れる。「商品の特徴・投資対象・コスト・リスク」を渡して「投資未経験の顧客に向けて説明してください」と指示すると、わかりやすい解説書の下書きが出てくる。
5. セミナー・勉強会の資料作成
投資初心者向けセミナー資料
証券会社・IFAが主催する投資セミナーの資料も、Claude Code で下書きを作れる。
Claude Code への入力例:
以下のテーマで、投資初心者向けセミナー資料のたたき台を作成してください。
【セミナー情報】
- テーマ: 「50代から始める資産形成〜老後のお金の不安を解消するために〜」
- 参加者: 50〜60代の投資未経験・少経験者
- 時間: 90分
- 形式: 講義形式(スライド使用)
【セミナーで伝えたいこと】
1. 日本の老後資金の現実(年金だけでは不足する可能性)
2. なぜ今から投資を始めるべきか(インフレ・長寿リスク)
3. 投資の基本的な考え方(リスクとリターンの関係・分散投資)
4. NISAの活用法(概要・メリット)
5. 具体的な始め方(少額から・時間分散)
【注意点】
- 特定の商品を勧めるセミナーではなく、まず投資の知識を身につけてもらう内容
- 「やってみようかな」と思えるような前向きな終わり方にする
各スライドの見出しと主要な内容をまとめたアウトライン形式で作成してください。
相続・贈与セミナーの案内文
「相続・贈与の基礎知識」「FPに聞く老後のお金の話」など、顧客向けセミナーの案内文も Claude Code で対応できる。
6. 顧客とのコミュニケーション文書
ポートフォリオの定期見直し提案メール
顧客に対してポートフォリオの定期見直しを提案するメールも、Claude Code で個別化した内容を作れる。
Claude Code への入力例:
以下の顧客に対して、ポートフォリオ見直しの面談を提案するメールを作成してください。
【顧客情報】
- 年齢: 55歳・会社員
- 運用歴: 当社との取引2年
- 保有資産: 国内株式中心のポートフォリオ(1,200万円程度)
- 最近の動向: 転職して収入が増えた旨を先月の面談で聞いている
【メールの目的】
- 収入増加に伴い、投資額の増加や資産配分の見直しを提案したい
- 強引なアプローチにならないよう、「一度状況を整理しませんか」という提案として
【トーン】
- 押し付けがましくなく
- 顧客の変化(転職・収入増加)を踏まえた個別感のある内容
件名から本文まで完成した形で作成してください。
面談後のフォローメール
面談後に送るフォローメール——「今日お話しした内容のまとめ」「次のステップの確認」——は、顧客との信頼関係を強化する大事な接点だ。Claude Code に「面談の内容メモ」を渡すと、丁寧なフォローメールの下書きが出てくる。
7. FP(ファイナンシャルプランナー)の文書効率化
ライフプランシートの解説文
FPが顧客と作成したライフプランシートをもとに、「現在の状況と課題」「取るべき対策」を整理した解説文書が必要になる場面がある。Claude Code に「ライフプランの数値と担当者の評価」を渡すと、解説文書のたたき台が出てくる。
Claude Code への入力例:
以下のライフプランの情報をもとに、顧客向けの「現状分析と今後の対策」レポートを作成してください。
【顧客情報】
- 40歳・夫婦(子2人・9歳・6歳)
- 世帯年収: 900万円(夫700万円・妻200万円)
- 住宅ローン: 残高2,800万円・残り25年
【ライフプランの試算結果(FPによる分析)】
- 教育費ピーク(15年後): 年間約180万円の支出増加
- 老後資金(65歳引退想定): 約5,000万円不足する可能性
- 現在の年間貯蓄: 約180万円
【課題】
- 教育費と老後資金の準備が同時に必要な時期が来る
- 妻の時短勤務終了後の収入増加がカギ
- 住宅ローンの繰り上げ返済と投資のバランス
顧客が「自分たちの課題がわかった・何をすべきかがイメージできた」と感じられるレポートを作成してください。
保険の見直し提案書
「現在の保険の見直しが必要か」を顧客に提案する資料も、Claude Code で効率化できる。「現在加入している保険の概要・ライフステージの変化・見直しのポイント」を渡すと、保険見直し提案書のたたき台が出てくる。
8. claudecode道場で学ぶ
claudecode道場は、非エンジニアの経営者・担当者が Claude Code を業務で使えるようになるための研修プラットフォームだ。malna株式会社が運営しており、プログラミングの知識は一切不要。全19章が無料で公開されている。
証券・FP業界のように「一人ひとりの顧客に合わせた個別文書が価値になる」業種では、Claude Code への情報の渡し方が出力品質を決める。claudecode道場では、この指示設計を体系的に学べる。
9. まとめ
顧客向け資産運用提案書・ポートフォリオレポート・マーケットレポート・セミナー資料・フォローメール——証券会社・IFA・FPの文書業務は「個別化が価値の源泉」だが、個別化には時間がかかるという矛盾がある。
Claude Code は「顧客情報を渡せば個別化された文書のたたき台が出てくる」という仕組みを作ることで、この矛盾を解消する。アドバイザーは、出てきたたたき台に自分の判断と専門的な洞察を加えて仕上げる——という役割分担が可能になる。
顧客との面談の準備にかける時間は変わらない。でも、その準備の質が上がり、量をこなしながら個別感を出せるようになれば、顧客満足度とアドバイザー自身のゆとりが両立できる。
malnaでは、証券会社・IFA・FPの Claude Code 導入支援を行っている。「提案書の効率化から始めたい」「チームで活用したい」という場合は、まずご相談いただきたい。
Claude Code 導入支援について malna に相談する
※本記事に含まれる効果の数値は、特定の業務条件を前提とした参考値です。実際の効果は業務内容・環境・習熟度によって異なります。


