自治体・官公庁で Claude Code を使ったら、住民向け文書作成が激変した
「これ、もう少しわかりやすく書けないですかね」
市役所の窓口担当者は、住民からの問い合わせ電話を切った後にため息をついた。補助金の申請手引きを見て「どこに何を書けばいいかわからない」という電話が、今週だけで10件を超えていた。文書は正確だが、読む側のことを考えて書かれていない。それはわかっている。でも、書き直す時間がない。
自治体の文書作成は独特の難しさがある。法的根拠に基づいた正確性が必要で、かつ「一般の住民が読んでわかること」が求められる。専門用語と平易な言葉の間で、担当者は常に綱渡りをしている。
Claude Code は、この綱渡りを楽にする道具として使える。
1. 自治体の文書仕事が持つ構造的な課題
自治体の文書業務は、民間企業と比べて独特の制約がある。
「公式性」が求められる。住民に向けた文書は、根拠・条件・手続きを正確に記述しなければならない。あいまいな表現・誤解を招く文章は、苦情・問い合わせ・トラブルに直結する。
読み手の幅が広い。20代のデジタルネイティブから、80代の高齢者まで、同じ文書を読む。「誰でもわかる」という高いハードルがある。
量が多く、更新頻度も高い。制度改正・条例改訂のたびに関連文書を更新しなければならない。補助金制度ひとつが変われば、チラシ・手引き・FAQがすべて書き直しになる。
Claude Code を使うと、「正確な情報を渡して、読みやすい表現に整える」という作業が大幅に効率化できる。
2. 住民向け文書の「わかりやすさ」を上げる
補助金・助成金の手引き作成
補助金申請の手引きは、対象者・申請方法・必要書類・期限が整理されていても、住民には伝わりにくいことが多い。
Claude Code に条件・対象・手続きの骨格を渡して「住民にわかりやすい手引きを作ってください」と指示すると、論理構造を保ちながら平易な言葉に整えた文章が出てくる。
Claude Code への入力例:
以下の補助金制度の情報をもとに、住民向けの申請手引きを作成してください。
【制度概要】
- 制度名: ○○市住宅リフォーム補助金
- 対象: 市内在住で、市税の滞納がない世帯
- 対象工事: 住宅の省エネ改修(断熱・窓・太陽光等)
- 補助額: 対象工事費の20%(上限20万円)
- 申請期間: 毎年4月1日〜12月末(予算なくなり次第終了)
- 必要書類: 申請書・見積書・工事前写真・住民票・市税完納証明書
【要件】
- 工事前に申請が必要(工事後の申請は不可)
- 施工業者は市内業者に限る
- 同一住宅への同制度の申請は1回限り
ポイント:
- 専門用語を避け、中学生でもわかる言葉で
- 「注意事項」や「よくある失敗」も含める
- 読み手が「次に何をすればいいか」が迷わないよう構成する
このような指示で、「対象者→申請の流れ→必要書類→注意事項→問い合わせ先」の構成で整理された手引きの下書きが出てくる。窓口への問い合わせが減り、業務負担が下がるという好循環につながる。
お知らせ・チラシの文章作成
行政の「お知らせ」は、どうしても堅くなりがちだ。Claude Code に情報を渡して「行政文書らしい正確さを保ちつつ、読みやすい形に」という指示ができる。
3. 議会・行政内部の文書作成
議会答弁資料のたたき台
議会への答弁準備は、担当者にとって時間のかかる作業のひとつだ。議員からの質問を要約し、担当部署の方針・実績・今後の対応をまとめる必要がある。
Claude Code に「質問の趣旨」「現状の取り組み」「今後の方針」を箇条書きで渡すと、答弁文のたたき台が出てくる。最終的な言葉の選択は担当者・管理職が行うが、「ゼロから書く」時間が大幅に短縮できる。
Claude Code への入力例:
以下の情報をもとに、市議会での一般質問に対する答弁文のたたき台を作成してください。
【議員の質問(要旨)】
「市内の空き家対策について、現状の取り組みと今後の方針を問う」
【現状の取り組み(担当部署まとめ)】
- 空き家データベースを整備(市内空き家数: 約1,200件)
- 空き家相談窓口を設置(年間相談件数: 80件)
- 特定空き家の認定・指導: 過去3年で15件
- 空き家バンク(移住希望者向け): 登録物件25件、マッチング成立8件
【今後の方針】
- 空き家除却費用の補助制度を来年度から導入(予算要求中)
- NPO・不動産業者との連携強化
答弁文体(「〜であります」「〜と考えております」)で、3〜4分程度を想定した分量で作成してください。
政策企画資料の構成案
新規事業・計画策定の際の資料構成も、Claude Code に任せられる。「こういう政策を検討している」「関係する状況は以下の通り」という情報を渡して、「企画書の構成案を作ってほしい」と指示すると、現状分析→課題→施策の方向性という流れで構成案が出てくる。担当者はそれを土台にして内容を埋めていく。
4. 規程・要綱の作成・改訂
条例・規則・要綱の改訂は、法的根拠と整合性の確認が必要なため、最終的には担当者が精査するが、「改訂前後の対比文の下書き」や「改訂趣旨の説明文」はClaude Code に任せられる部分が多い。
Claude Code への入力例:
以下の変更内容をもとに、補助金交付要綱の改訂文と改訂理由の説明文を作成してください。
【改訂の背景】
- 国の補助制度の要件変更に伴い、市の補助要件も見直す必要がある
【主な変更点】
1. 申請できる事業者の要件: 「市内に事業所を有する者」→「市内に本社または主たる事業所を有する者」
2. 補助率: 「2分の1以内」→「3分の2以内(中小企業の場合)」
3. 申請期限: 「各年度12月末」→「各年度11月末(書類審査期間確保のため)」
要綱文体(「〜するものとする」「〜に限る」)で作成し、改訂前後の対比と改訂理由を別途まとめてください。
5. DX推進部門での活用
自治体のDX推進担当・情報政策担当にとっても、Claude Code は直接的なツールになる。
調達仕様書・提案依頼書(RFP)の作成。システム調達のためのRFPは、要件定義・評価基準・提出様式など、書くべき項目が多い。Claude Code にプロジェクトの目的・機能要件・制約条件を渡すと、RFPの構成案と各セクションの下書きが出てくる。
ベンダーへの問い合わせ文の作成。システム調達・保守契約の際にベンダーに送る質問文・交渉文も Claude Code に任せられる。
住民向けデジタル手続きのガイド作成。マイナポータル・電子申請の使い方ガイドを、高齢者にもわかる言葉で作成する際も有効だ。
6. 情報管理の考え方
自治体での Claude Code 利用においても、情報管理は重要なテーマだ。
住民の個人情報(氏名・住所・生活状況など)はClaude Code に入力しない。「30代・市内在住・子育て世帯」という属性情報だけで、対象者向けの文章は十分に書ける。
内部で取り扱う政策情報・予算情報も、「確定前の情報」や「対外非公開の情報」はどの範囲で使うか、情報セキュリティ担当部署と確認してから運用ルールを定める。
「Claude Code をどう使えるか」よりも「どう使うかのルールを整えるか」が、自治体では先に来る課題だ。
7. claudecode道場で学ぶ
claudecode道場は、非エンジニアの経営者・担当者が Claude Code を業務で使えるようになるための研修プラットフォームだ。malna株式会社が運営しており、プログラミングの知識は一切不要。全19章が無料で公開されている。
自治体・官公庁では「正確な情報を、読みやすく・わかりやすく伝える」という課題が常にある。claudecode道場では、この種の文章作成を Claude Code でどう設計するかを体系的に学べる。
8. まとめ
補助金手引きのわかりやすさの改善、議会答弁資料のたたき台作成、規程改訂文の下書き——自治体の文書業務は「正確で、わかりやすく、量が多い」という難しさがある。Claude Code は「下書きを作る」役割を引き受けることで、担当者が「確認・判断・仕上げ」に集中できる環境を作る。
情報管理のルールを整えた上で運用すれば、住民サービスの品質向上と職員の業務負担軽減を同時に実現できる。
malnaでは、自治体・公的機関の Claude Code 導入支援も行っている。「庁内で試してみたい」「職員研修として取り組みたい」という場合は、まずご相談いただきたい。
Claude Code 導入支援について malna に相談する
※本記事に含まれる効果の数値は、特定の業務条件を前提とした参考値です。実際の効果は業務内容・環境・習熟度によって異なります。


