議事録を書く人が、会議の内容を一番覚えていない——Claude Code で変わる会議後の30分
会議が終わった後に「誰が議事録を書くか」を決める時間は、ある意味で会議時間の延長だ——そう感じた経験のある方は多いのではないでしょうか。
担当を決めた後も、問題は続きます。議事録を書く役になった人は、会議中に発言を追うことに集中するあまり、内容を深く咀嚼する余裕がない。メモを取ることと、議論に参加することを同時にこなそうとすると、どちらも中途半端になります。会議が終わった後に自席に戻って整形作業を始めると、記憶は既にあいまいになっていて、手元にあるのは断片的なメモだけ、という状況になりがちです。
そこに「1時間の会議なら議事録にも30分から1時間かかる」という現実が重なります。週に3〜4本の会議がある人であれば、議事録だけで週に2〜3時間が消えていく計算です。
この記事では、議事録が「なぜ放置されるのか」という構造的な原因を整理した上で、Claude Code を使った3つの作業パターンと、共有前に必ず踏むべき確認フローについて説明します。
議事録の「3つの目的」を先に整理する
議事録が放置される最大の理由のひとつは、「目的があいまいなまま作っている」ことです。
議事録には、大きく3つの目的があります。
1. 記録(何が決まったか・何が議論されたかを残す) 後から参照したときに、その会議で何が決まったかが確認できる状態を作ることです。特に意思決定の根拠や経緯を残しておくことで、「なんでこう決めたんだっけ」という振り返りに使えます。
2. 共有(参加できなかった人・関係者に伝える) 会議に参加していなかった上長や関係部門に、会議の内容を正確に伝えることです。メンバー全員が毎回全会議に参加するわけではないので、議事録が情報共有の唯一の手段になることは少なくありません。
3. アクション管理(誰が何をいつまでにやるかを管理する) 決定事項から派生した作業を、担当者と期限を明示して管理できる形にすることです。この部分が抜けると、会議で決まったことが実行されないまま次の会議を迎える、というサイクルが生まれます。
この3つのうち、どれを主目的にするかによって、議事録の書き方は変わります。「記録重視」の議事録と「アクション管理重視」の議事録では、必要な情報の粒度が異なります。目的を先に整理してから書き始めることで、必要以上に詳しく書こうとして時間をかけすぎる、という失敗が減ります。
Claude Code を使う際も、この目的をプロンプトに明示することが出力の質を決める最大の要因になります。
Claude Code でできる3つの作業パターン
プログラミングの知識は一切不要です。
パターン1: 箇条書きメモから正式議事録への変換
会議中に書いた箇条書きのメモを Claude Code に貼り付けて、整形を依頼する使い方です。「きれいに書かなければ」という心理的ハードルがなくなるため、会議中のメモが取りやすくなるという副次効果もあります。
入力例:
以下の会議メモをもとに、正式な議事録を作成してください。
【会議情報】
日時: 2026年5月10日 14:00〜15:00
参加者: 田中(司会)、山田、佐藤、鈴木
目的: 5月の施策進捗確認と6月計画の確認
【メモ】
- LP改修の進捗確認。田中より「デザインは完了、コーディング中」
- 公開予定は5月末から6月10日に変更 → 全員合意
- 佐藤さんからSNS広告の提案。予算は月30万円で承認
- 来月のCVR(コンバージョン率)目標について。CVR1.5%を目指す
- 鈴木さんが6月1日に業者ミーティング → 結果を翌週共有
- 次回は5月17日(金)14時〜
【出力形式】
1. 会議の目的
2. 決定事項(箇条書き)
3. 議論の要点(テーマごと)
4. アクションアイテム(担当・期限付き・表形式)
5. 次回MTG予定
出力されるアクションアイテム表のイメージ:
| アクション | 担当 | 期限 |
|---|---|---|
| LPコーディング完了・公開対応 | 田中 | 6月10日まで |
| SNS広告の初稿入稿 | 佐藤 | 要確認 |
| 業者ミーティング実施・結果共有 | 鈴木 | 6月8日(翌週)まで |
期限が明示されていない場合は「要確認」として出力させる指示を入れておくと、決定が曖昧なままになっている部分を可視化できます。これは議事録の品質向上というより、会議の設計の甘さを発見するためにも役立ちます。
パターン2: 音声文字起こしテキストの整理・要約
tl;dv や PLAUD などの音声文字起こしツールで取得した長文テキストを、Claude Code で整理する使い方です。1時間の会議の文字起こしは数千字になることが多く、「えー」「あの」といったフィラーワードや同じ内容の繰り返しが含まれています。
Claude Code はこういったノイズを除去しながら、決定事項とアクションアイテムを先に出すことができます。「全部を読む前に要点を把握したい」という用途に向いています。
入力のコツは、「先に決定事項とアクションアイテムを出して」という指示を冒頭に入れることです。1時間分のテキストを渡してから「要約してほしい」と言うだけでは、重要度のばらつきが出やすくなります。
なお、音声録音・文字起こしを行う場合は、参加者全員への事前の同意取得が前提です。社外の取引先が参加する会議では特に注意が必要です。また、機密情報を含む会議のテキストを入力する際は、社内のセキュリティポリシーを確認してから使ってください。
パターン3: アクションアイテムだけの抽出
議事録全体を作る時間はないが、アクションアイテムだけ今すぐ共有したい、という場合に有効です。
入力例:
以下の会議メモから、アクションアイテムだけを抽出してください。
担当者が不明な場合は「担当未定」、期限が不明な場合は「要確認」とマークしてください。
出力形式:
| アクション | 担当者 | 期限 | 優先度(高/中/低) |
【会議メモ】
(メモを貼り付け)
「担当者未定のアクションがある」という状態が可視化されると、次の会議で最初に「前回の担当未定アクションの担当者を決める」という議題を立てやすくなります。アクション管理の目的で議事録を使っている組織では、このパターンだけで十分なケースも多いです。
「読んでもらえる議事録」にするために
議事録は書くことよりも「読んでもらえること」の方が難しい、という面があります。
よくある問題は3つです。
長すぎる: 会議の流れを順番通りに書いてしまうと、読む側には「結局何が決まったのか」が分かりにくい。決定事項を冒頭に出す構成にするだけで、読まれる確率が上がります。
誰が何をするかが書かれていない: 決定事項は書いてあるが、そこから派生するアクションが空欄になっているパターン。会議の価値は実行にあるため、アクションが書かれていない議事録は記録としては残るが管理ツールとして機能しません。
フォーマットが毎回違う: 担当者によって書き方がバラバラだと、参照するたびに構成を探す手間が発生します。
Claude Code を使い始めるタイミングを、議事録フォーマットをチームで統一するきっかけにすることをお勧めします。一度 CLAUDE.md というファイルにフォーマットを書いておくと、次回から「このメモを議事録にして」とだけ伝えれば同じ形式で出力されるようになります。この設定方法は claudecode道場(全19章・2026年4月時点)のカリキュラムで解説しています。
会議の翌日10分で完成させるワークフロー
実際の作業の流れを具体的に示します。
会議中(5分): 箇条書きでメモを取る。「誰が言ったか」「決定か検討かの区別」「数字が含まれるか」の3点だけを意識する。完璧なメモを作ろうとしない。
会議終了後すぐ(2分): 記憶が鮮明なうちに「この会議で最重要だった決定事項」を1〜2行だけメモに追加する。翌日でも思い出せるための補足情報として使う。
翌日朝(5〜7分): Claude Code を開き、メモを貼り付けてプロンプトを実行する。出力された議事録を確認し、事実と異なる点がないかを確認する。
確認後(3分以内): 問題がなければ、チャットツールやメールで関係者に共有する。
このフローで重要なのは「会議の翌日」という設定です。当日すぐにやろうとすると、次の会議や別の業務が割り込んで後回しになります。「翌日の朝一番」というルールを決めておくことで、確認待ちにならずに済みます。
共有前に省略してはいけない確認ステップ
Claude Code は入力した情報をもとに整形・補完を行います。この「補完」の部分が、議事録作成における最大のリスクです。
具体的には、こういう問題が起きます。
- 「5月末」というメモが「5月31日(金)」と具体化されて出力されるが、実際の5月31日は土曜日だった
- 「田中が担当」と書いたが、実際には「田中か山田のどちらかに確認する」という宿題だった
- 数字の誤変換(30万円が3万円になるなど)
これらは Claude Code の性能の問題ではなく、入力側の情報量の問題から起きることが多い。会議中のメモが断片的であればあるほど、補完される部分が増え、事実と異なるリスクが上がります。
共有前に、以下の3点を原文のメモと照合する習慣を作ることをお勧めします。
- アクションアイテムの担当者と期限が正しいか
- 決定事項の内容(特に数字・日付)に誤りがないか
- 「決定した」と書かれているが実際には「検討事項」だったものがないか
この確認ステップを省略しないことと、チームでフォーマットを統一することの2点が、Claude Code を使った議事録作成を「速くて正確」な状態に保つための核心です。
claudecode道場について
claudecode道場は、非エンジニアの経営者・担当者が Claude Code を業務で使えるようになるための研修プラットフォームです。malna株式会社が運営しています。プログラミングの知識は一切不要で、全19章構成(2026年4月時点)で学習できます。
議事録作成は、Claude Code を業務に組み込む最初のステップとして取り組みやすい実務のひとつです。ここで使い方の感覚をつかんだ後、メール返信・報告書・プレゼン構成など、他の「書く仕事」への応用を広げていくカリキュラムになっています。
「まず議事録から試してみたい」という方にも、「チーム全体の生産性を上げたい」というマネージャーの方にも、始めやすい内容です。
まとめ
議事録が放置される原因は、書く時間がないことと、目的が曖昧なことの両方にあります。Claude Code を使うことで、箇条書きメモから正式議事録への変換・音声文字起こしテキストの整理・アクションアイテムだけの抽出という3つの作業パターンを、大幅に短縮できます。
目的を先に整理してから書くこと、共有前に事実確認のステップを省略しないこと、チームでフォーマットを統一することの3点が、活用を定着させるための核心です。
malna では、議事録作成をはじめとする企業の Claude Code 導入支援を行っています。「どこから始めればいいかわからない」という場合は、まずはご相談ください。



