プレスリリースの配信は1本2万円——でも、書くのに3時間かかるのが問題だった。
配信費用は会社が負担してくれる。でも、「書く時間」は自分がひねり出すしかない。案件が重なった週は、プレスリリースを書きながら取材の対応をしながら、社内への告知文も作る。広報担当者1〜2人で複数の発表を回している会社では、このスケジュールが当たり前になっています。
「書く仕事が多すぎて、本来やりたい記者との関係構築や情報発信の設計に時間が割けない」——そんな広報担当者の声を聞くたびに、「書く工程をもっと効率化できれば」と感じます。
Claude Code は、その「書く工程」の大部分を代替できます。この記事では、広報・PR業務の文章を「媒体向け」「SNS向け」「社内向け」の3種類に整理しながら、具体的な使い方を解説します。
1. 広報の文章には3種類の「コード」がある
広報担当者が書く文章は、読む相手によってトーンと構成が全く違います。
媒体向け(プレスリリース・取材Q&A) は、記者・メディアが読むことを前提とした文章です。5W1Hが整っていること、数字や事実が正確なこと、会社側の都合ではなく読者が読んで「なぜ今これが重要か」がわかること——この観点で書く必要があります。感情に訴える表現や誇張は、記者に不信感を与えます。
SNS向け(投稿文・告知コピー) は、フォロワーや潜在顧客が読む文章です。短くて、スクロールを止めるインパクトがあって、シェアしたくなるような内容が求められます。プレスリリースと同じ情報を扱っても、書き方は全く別物です。
社内向け(ニュースレター・告知文) は、社員が読む文章です。専門用語を使っていいし、社内の文脈を共有できる。ただし、「経営が一方的に情報を下ろす」感じにならないよう、当事者意識を持ってもらえる書き方が求められます。
この3種類の文章を同じ「広報の文章」と括っていると、使い回しや雑な流用が起きます。Claude Code を使う際も、「どの媒体向けの文章か」を指定することが精度を上げる最重要ポイントです。
2. 4種類の文書への具体的な使い方
2.1 プレスリリース
プレスリリースは、「形式と慣例」がある文章です。リード文に5W1Hと数字を入れる、会社概要を末尾にまとめる、代表者コメントを引用文形式で入れる——これらを守りながら、かつ記者が「配信する価値がある」と判断する内容にまとめる必要があります。
Claude Code に発表内容の要点を渡すと、この形式に沿ったプレスリリースの初稿が出てきます。
入力例:
以下の情報をもとに、プレスリリースの初稿を作成してください。
【発表内容】
サービス名: (サービス名)
発表日: 2026年5月15日
発表企業: (会社名)
サービス概要: (何ができるか2〜3文)
ターゲット: (誰に向けたサービスか)
市場背景: (この課題がなぜ今重要か)
効果を示す数字: (従来比○%削減、導入企業○社など)
代表者コメント: (引用文として使えるコメント)
提供開始日・価格: (提供条件)
問い合わせ先: (URLまたはメール)
【形式条件】
- リード文に数字か具体的な成果を入れてください
- 会社概要は本文の最後にまとめてください
- 本文800〜1000字程度
ここで大事なのは、入力する「情報の質」です。発表内容の5W1H・数字・代表者コメントを整理してから入力することで、出力の精度が上がります。「なんとなくの説明」を入力すると、それなりの文章しか出てきません。
また、プレスリリースは「配信後に記者や媒体側が見出しを変えたり、一部を使わなかったりする」ことが前提です。媒体側が取り上げやすいように、事実ベースで過不足なく書くことを意識した指示をClaude Code に与えると、余計な誇張や主観的な表現が減ります。
2.2 SNS投稿文
プレスリリースを1本書いたら、そこからSNS向けの二次展開コンテンツを作る作業が発生します。X(旧Twitter)用・LinkedIn用・Instagramキャプション用——媒体ごとに文字数も求めるトーンも違います。
Claude Code にプレスリリースの本文を渡して「媒体別のSNS投稿文を3パターン作ってほしい」と依頼すると、一気に複数の媒体向けコンテンツを出力できます。
入力例:
以下のプレスリリースをもとに、SNS向けの告知コンテンツを3パターン作成してください。
【プレスリリース本文】
(プレスリリースのテキストをここに貼り付け)
【作成してほしいもの】
1. X(旧Twitter)用: 140字以内。プレスリリースのURLを末尾に追加する想定。
数字か具体的なベネフィットを冒頭に置いてください
2. LinkedIn用: ビジネス向けのトーンで300〜400字。
「この課題を持つ方に」という視点で書いてください
3. 自社ブログの導入文: 「このたびリリースしました」ではなく、
読者の課題から書き始めてください。200字程度
SNS投稿文はプレスリリースより「人が読んで動く」文章であるため、出力後に自分のトーンに合わせた調整が必要になることが多いです。Claude Code は構成と素材を出してくれるもので、最終的な言葉選びは担当者が手を入れることで完成します。
SNS発信で広報担当者が特に気をつけたいのは、「炎上リスク・誤解を生む表現」です。Claude Code に対して「この表現は誤解を招く可能性があるか確認してほしい」と指示することで、セルフチェックにも活用できます。例えば、「競合と比べて○○が優れている」という表現が含まれる場合、根拠データがない状態での投稿リスクを指摘してもらえます。
2.3 取材対応Q&A
記者から問い合わせが来たとき、「何をどこまで答えるか」を整理しながら回答文を作るのは時間がかかります。回答の方向性と開示できる情報をClaude Code に渡すと、適切な丁寧さで回答文の下書きが出てきます。
入力例:
以下の内容で、記者からの問い合わせへの回答文を作成してください。
【問い合わせ内容】
(記者からのメールや問い合わせ内容)
【回答方針】
- 以下の情報は回答できます: (開示可能な情報)
- 以下の情報は答えられません: (非公開にする内容)
- 代表者のコメント(引用可): (コメント文)
【形式・条件】
- 記者へのメール返信として使います
- 件名も含めて作成してください
- 丁寧かつ簡潔に。「お答えできない」部分についても理由に触れてください
「この部分は答えない」「この情報は非公開」という制約を指示に明示することが重要です。Claude Code は制約を指示した上で出力するため、担当者が「答えてしまった」というミスを防ぐ助けになります。
取材対応では、「公式コメント」と「背景情報(オフレコ)」を明確に区別することが広報の基本です。Claude Code に渡す情報を整理する段階で、この区別を意識する習慣が身につきます。
2.4 社内向けニュースレター
新サービスのリリース、組織変更、重要な業績報告——これらを社員に伝える社内ニュースレターも、広報担当者が担うことがあります。プレスリリースとは違い、社内向けには「社員が自分ごとにできる書き方」が求められます。
入力例:
以下の内容で、社内向けニュースレターを作成してください。
【伝えたいこと】
(発表内容・イベント・変更点など)
【受け手】
全社員。現場職も含む(専門用語を使わない)
【目的】
情報共有だけでなく、社員に「自分たちのこと」として受け取ってほしい
【形式・条件】
- 冒頭に1〜2行のインパクトのある書き出し
- 「この発表が社員の仕事にどう関係するか」を必ず含める
- 500〜700字程度
- 「社員を巻き込む問いかけ」で締める
プレスリリースをそのまま社内に流すだけでは、社員が自分ごととして受け取りにくいことがあります。「この発表の背景にどんな判断があったか」「社員に期待することは何か」を加えることで、一方通行ではないニュースレターになります。
3. 広報とClaude Code の役割分担
広報の仕事を「情報の選択と文脈づくり」と整理すると、Claude Code がどこまで担えるかが明確になります。
「何を発表するか」「なぜ今このタイミングか」「どのメディアに届けたいか」——これらの判断は広報担当者の仕事です。Claude Code はこの判断には介入できません。
Claude Code が担えるのは、「決まった情報をどう書くか」という言語化の工程です。骨格を作る、構成を整える、複数の媒体向けに言い換える——これらを短時間で出力できます。
言い換えると、「広報の本質業務(情報戦略・メディアリレーション)」と「実務的な文章作成」を分離するためのツールです。前者に使える時間が増えることが、Claude Code を広報業務に導入する最大の価値です。
4. 広報初心者にとっての価値
広報経験が浅いと、プレスリリースを書き始める前から「どう書けばいいかわからない」という壁にぶつかります。過去のプレスリリースを読んで参考にしようとしても、自社の状況に当てはめる部分で詰まります。
Claude Code を使うと、「形式を守った初稿」が出てきます。それを見て「これでいいのか、直すとしたらどこか」という観点で考える方が、ゼロから書こうとするよりも早く上達します。
また、「なぜこの構成なのか」「リード文に数字を入れるのはなぜか」を Claude Code に聞くこともできます。プレスリリースの慣例や記者の読み方を学びながら書く使い方は、広報担当者としての成長を加速します。
記者と関係を築くには、まず「伝わる文章を書けること」が前提です。Claude Code で書く速度と品質を上げた先に、記者対応や情報設計に使える時間が生まれます。
5. 全19章(2026年4月時点)のカリキュラムについて
claudecode道場は、malna株式会社が運営する研修プラットフォームです。全19章のカリキュラムを無料で公開しており、プログラミングの知識は一切不要です。
広報・PR担当者には「媒体別の文章設計」「繰り返し使えるプロンプト設計」「ファクトチェックを組み込んだ運用フロー」など、実務に直結した観点での活用が特に役立ちます。「AIに触れたことがない」という方でも、翌日から実務で使い始められるカリキュラムを用意しています。
6. 導入時に注意すること
ファクトチェックは省略しない
Claude Code の出力に、入力していない情報が「それらしい内容」として含まれることがあります。プレスリリースは外部に公開するものですから、数字・社名・サービス名・引用コメント・URLは出力後に必ず一つひとつ確認してください。広報の信頼は、一度の誤情報で損なわれます。
非公開情報をそのまま入力しない
記者への回答文を作るとき、「参考として」非公開の情報を入力することは避けてください。入力したからといってすぐに外部に漏れることはありませんが、社内のセキュリティポリシーを確認し、開示判断が済んでいる情報のみ使用するのが原則です。
プロンプトをストックする
うまく機能した指示文(プロンプト)は社内で蓄積しておきましょう。新製品発表・事例リリース・受賞・資金調達など、プレスリリースの種類別にプロンプトのテンプレートを整備しておくと、次回からの作成時間がさらに短縮されます。担当者が変わっても品質が安定するという副次効果もあります。
7. こんな方に向いています
- 広報専任が1〜2名で複数の発表案件を抱えている方
- プレスリリースを書くたびに「どう書けばよかったか」から悩んでいる方
- SNS・ブログへの二次展開コンテンツを効率よく作りたい方
- 取材対応の回答文作成に毎回時間がかかっていると感じている方
- 広報経験が浅く、プレスリリースの型を覚えながら業務を進めている方
- 「書く仕事に追われて、情報設計やメディアリレーションに使う時間が足りない」と感じている方
8. まとめ
広報・PR担当者の「書く仕事」は、「媒体向け」「SNS向け」「社内向け」の3種類に分類できます。それぞれで求めるトーンと構成が異なるため、Claude Code を使う際も「どの媒体向けか」を明示することが精度を上げるポイントです。
プレスリリース・SNS投稿文・取材対応Q&A・社内ニュースレター——これらの「書く工程」を短縮することで、本来の広報業務である情報設計やメディアリレーションに使える時間が増えます。
大切なのは、Claude Code を「言語化の支援ツール」として位置づけることです。「何を発信するか」という判断は広報担当者が行い、「どう書くか」の工程をClaude Code に担わせる役割分担が現実的です。
まずは「次のプレスリリースの初稿をClaude Code に出させてみる」ところから試してみてください。ゼロから書き始めるより速く、修正に集中できる状態が作れます。
Claude Code の活用について相談したい場合は、Claude Code導入支援についてmalnaに相談する からどうぞ。
※本記事に含まれる時間削減の数値は特定の業務条件を前提とした参考値です。実際の効果は業務内容・環境・習熟度によって異なります。
