「50件の顧客レポートを一括で修正したい」「100本のメール文面を統一フォーマットに変換したい」「複数の議事録から重要な決定事項だけを抽出したい」——こうした大量ファイル処理の需要は多くのビジネスの現場にあります。Claude Codeはこうした複数ファイル処理が得意です。この記事では、非エンジニアが実務で使える複数ファイル処理のテクニックを解説します。
目次
- Claude Codeの複数ファイル処理の基本
- ファイルを複数同時に読み込む方法
- フォルダ単位での一括処理
- ビジネス文書の一括変換・更新
- 実務でよく使う処理パターン集
- 大量ファイル処理時の注意点
- 非エンジニアが覚えるべき最低限のコマンド
- まとめ
1. Claude Codeの複数ファイル処理の基本
Claude CodeはCLI(ターミナル)を通じてファイルシステムに直接アクセスできます。これにより、複数のファイルを一度に読み込んで処理したり、フォルダ内のすべてのファイルを順番に処理したりすることが可能です。
ウェブ版のClaude.aiでは1つずつファイルを添付するしかありませんが、CLI版のClaude Codeではフォルダ全体を指定して「この中のすべてのファイルを〇〇してください」という指示が通ります。
複数ファイル処理が活きる典型的なシナリオ
- 月末に届く30件のクライアントレポートを統一フォーマットに整形する
- 50件の契約書から期間・金額・特記事項を抽出して一覧表を作る
- 過去1年分の会議録(週次50本)から課題の傾向を分析する
- 複数の部署から提出されたアンケート回答を集計・分析する
- 製品カタログの説明文を一括で修正する
2. ファイルを複数同時に読み込む方法
Claude Code(CLI版)では、@記号を使ってファイルを参照できます。複数のファイルを同時に参照する場合は、複数の@を使います。
基本的な書き方
以下の3つの提案書を読んで、共通点と相違点を比較してください。
@proposal_clientA.md
@proposal_clientB.md
@proposal_clientC.md
比較表の形式で出力してください。項目は「コスト」「納期」「特徴」「強み」です。
このように複数のファイル参照を並べることで、Claude Codeはそれぞれのファイルを読み込んで同時に参照しながら応答します。
ウェブ版での対応方法
ウェブ版のClaude.aiでも、複数ファイルを添付する機能があります。ファイル添付ボタンから複数ファイルを選択してアップロードし、「これら3つのファイルを比較して」と指示します。ただし、CLIと比べると操作が少し手間になります。
3. フォルダ単位での一括処理
CLI版のClaude Codeでは、フォルダ全体を対象にした処理が可能です。
フォルダの内容を一覧で把握させる
reports/ フォルダの中にあるすべてのファイルの一覧を見せてください。
各ファイルの内容を簡単に要約してください。
フォルダ内のすべてのファイルに同じ処理を適用する
contracts/ フォルダにある .txt ファイルをすべて読み込んで、
それぞれのファイルから以下の情報を抽出してください。
抽出項目:
- 契約書のタイトル
- 契約開始日
- 契約終了日
- 契約金額
- 相手方企業名
結果を表形式でまとめてください。
処理対象のフォルダ構造を事前に理解させる
複雑なフォルダ構造を扱う場合は、まずClaude Codeにフォルダ構造を把握させてから処理を依頼すると、精度が上がります。
以下のフォルダ構造を確認してください。
どのファイルが今回の処理対象として適切かを判断してください。
@./(現在のフォルダの構造)
---
## 4. ビジネス文書の一括変換・更新
実際のビジネスシーンでよく使われる一括処理のパターンを紹介します。
**パターン1: フォーマット統一**
複数の部署から集まったレポートが異なるフォーマットで書かれている場合、統一フォーマットに変換できます。
以下の3つのレポートは、部署ごとに書き方が異なります。 すべてを「統一フォーマット」に変換してください。
【統一フォーマット】
今月の実績
(数値と前月比)
良かった点
(箇条書き3点以内)
課題
(箇条書き2点以内)
来月の施策
(具体的なアクション・担当者・期限)
@sales_report_tokyo.md @sales_report_osaka.md @sales_report_nagoya.md
**パターン2: 情報抽出と集計**
複数のアンケート・フォーム回答から特定の情報を抽出する場合です。
以下のアンケート回答ファイル(5件)から、 「課題として挙げられている内容」を全件抽出してください。
抽出後、似た内容をグループ化して、 「どの課題が最も多く挙げられているか」をランキング形式で出力してください。
@survey_001.txt @survey_002.txt @survey_003.txt @survey_004.txt @survey_005.txt
**パターン3: 差分チェック**
2つのバージョンの文書(改訂前・改訂後)を比較して変更点を整理する場合です。
以下の2つの契約書を比較してください。
@contract_v1.pdf(旧バージョン) @contract_v2.pdf(新バージョン)
変更された箇所を表にまとめてください。 項目は「変更箇所」「旧内容」「新内容」「変更の意味合い(リスクの変化など)」です。
**パターン4: 一括リネームと整理**
ファイル名が統一されていないファイル群を整理する場合です。
reports/ フォルダ内のファイル名を確認してください。 現在のファイル名のルールを把握した上で、 「YYYYMMDD_クライアント名_レポート種別.pdf」という形式に 変換するにはどうすればよいか、手順を教えてください。
---
## 5. 実務でよく使う処理パターン集
実際の業務でそのまま使える処理パターンをまとめます。
**議事録一括分析**
mtg_minutes/ フォルダ内の議事録ファイルをすべて読み込んで、 以下の分析を行ってください。
- 各会議で出た「宿題・アクションアイテム」の一覧(担当者・期限付き)
- 複数の会議に共通して出ている課題トップ5
- まだ解決されていない宿題の一覧(前回以前の会議のものを含む)
**契約書管理**
contracts/ フォルダ内のすべての契約書を読み込んで、 以下の情報を抽出してExcel用のCSV形式で出力してください。
- ファイル名
- 契約相手方
- 契約種別
- 契約開始日
- 契約終了日
- 自動更新の有無
- 解約通知期限
- 契約金額(月額・年額)
**メール文面一括修正**
email_templates/ フォルダ内のメールテンプレートを読み込んでください。 全テンプレートに対して以下の修正を一括で適用してください。
- 冒頭の挨拶を「平素よりお世話になっております。」に統一する
- 署名の会社名を「〇〇株式会社」に更新する
- 敬称を「様」で統一する(「さん」「殿」を修正)
修正後の各ファイルの内容を出力してください。
---
## 6. 大量ファイル処理時の注意点
複数ファイルを扱う際に知っておくべき注意点をまとめます。
**注意点1: コンテキストウィンドウの上限を意識する**
Claude Codeのコンテキストウィンドウは最大200Kトークンです。大量のファイルを一度に読み込むと上限に達する可能性があります。100ファイルを一度に処理しようとするより、10ファイルずつバッチに分けて処理する方が安全です。
**注意点2: 重要なファイルは処理前にバックアップを取る**
Claude Codeが直接ファイルを書き換える場合(更新・変換処理)、元のファイルに上書きされます。必ず処理前に元ファイルをバックアップしてから作業してください。
「変更前のファイルはそのまま残して、変更後のファイルを別フォルダ(output/)に保存してください」という指示を入れると、安全に作業できます。
**注意点3: 個人情報・機密情報の取り扱い**
顧客名・メールアドレス・契約金額などの個人情報や機密情報が含まれるファイルを処理する場合、Claude Code(特にAPIを通じた処理)のデータポリシーを確認してから使用してください。社内のセキュリティポリシーに沿った判断が必要です。
**注意点4: 処理結果を必ず確認する**
大量ファイルを一括処理した後、すべての結果を目視確認するのは現実的ではありませんが、サンプルチェック(10〜20%を確認)は必ず行ってください。AIが期待と異なる解釈をしているケースは一定の割合で発生します。
---
## 7. 非エンジニアが覚えるべき最低限のコマンド
Claude Codeの複数ファイル処理を使いこなすために最低限知っておくべき概念を整理します。
**ファイルパスの概念**
ファイルの「住所」のようなものです。`フォルダ名/ファイル名.拡張子`という形式で表します。
例: `reports/2026-05/monthly_report.pdf`
**よく使うコマンド(Claude Codeに伝えるもの)**
Claude Codeには日本語で指示できますが、以下のような表現を覚えておくと操作がスムーズです。
- 「〇〇フォルダの中を確認して」 → フォルダの内容一覧を表示
- 「〇〇のファイルをすべて読み込んで」 → ファイルを参照
- 「結果を〇〇というファイル名で保存して」 → ファイルを生成・保存
- 「元のファイルは変えずに、新しいフォルダに保存して」 → 安全な一括処理
---
## 8. まとめ
Claude Codeの複数ファイル処理は、ビジネスパーソンが「大量の定型作業」から解放される最も直接的な手段のひとつです。
月末の報告書まとめ・契約書の情報抽出・議事録の宿題管理——これらは時間がかかるわりに付加価値が低い業務の代表格です。Claude Codeが10分で処理できることを、人間が半日かけてやる必要はありません。
まず手元にある5〜10件のファイルで試してみてください。Claude Codeに「このフォルダを見て、何ができそうか教えて」と聞くことから始めても十分です。
---
Claude Code道場では、複数ファイル処理をはじめとするClaude Codeの実践的な活用法を全19章で学べます。実際の業務に即したサンプルと演習を通じて、明日から実務で使えるスキルが身につきます。カード不要・登録2分で今すぐ始められます。


